New Compact
Folding Bike

機能美と折りたたみ機構を追求。
世界最小体積、幅20cmのフォールディングバイク

fill 開発者・菅原 裕

宮城県在住。東京造形大学彫刻科卒業。絵本「おおきなかぶ」の押し絵を描いたとしても知られる彫刻家・佐藤忠良氏に塑像彫刻の基礎を学ぶ。卒業後は美術教師となり、中学校に勤務。一時期は宮城県美術館に出向、校長職まで勤め上げる。その間も彫刻の制作は続け、毎年県内で作品を発表。美術と教育の現場に長く携わり、自転車開発とは無縁だった人生を大きく変えたのは、地元を襲った東日本大震災。自転車の可能性に魅せられ、再びモノづくりの領域に足を踏み入れる。

彫刻を学び、美術教師となった開発者が
モノづくりの道に還るまで

2011.3.11 東日本大震災。ガソリンスタンドには連日、長蛇の列がありました。

当時、宮城県美術館に出向していた菅原は自転車での通勤を余儀なくされます。最初は、いわゆる”ママチャリ”と呼ばれる軽快車で通勤を始めました。しかし、往復三時間もかかる自転車通勤に体力の限界を感じ、スポーツバイクを購入します。

その自転車に乗ることで通勤時間は二時間に短縮。自転車移動の可能性に魅せられました。

ほどなくして、震災より途絶えていた電車が再開。それでも菅原の自転車への興味は続きます。「交通機関を使えば、もっと自由に遠くへ、いろいろな場所に自転車で行けるのでは」と、輪行ができる折りたたみ自転車に注目しました。

当時、世界最小と言われていた、とある有名な折りたたみ自転車のサイズを知った菅原は「よりコンパクトな折りたたみ自転車はできないものか」と、自身が考える理想の折りたたみ自転車の設計図を紙と鉛筆で描き始めました。

美術大学を卒業し、一時期は彫刻家を目指して制作に打ち込んできたモノづくりに対する想いが再燃したのです。

彫刻と自転車。

一見関連がなさそうなこの二つには「3Dの視点で動きや形を捉えながら構想を練る」「機能的でありながらも、より美しいフォルムを追求する」という共通点がありました。

彫刻を学び、美術教師としても、日々立体造形に向き合ってきた菅原。長年の経験と感性を生かして、試作車づくりに没頭します。

世界初の折りたたみ幅に挑む。
fill の原型となる試作第一号車

2011年秋、試作第一号車が完成しました。

設計図は手描き。型紙で模型を作り、折りたたみ操作の動きを細やかに検証しながら製作しました。既存の自転車や廃棄扱いの自転車を分解して、一つ一つの部品をヤスリで削り、溶接して、数センチ、数ミリ単位での調整を重ねて組み立てました。

菅原はその後も満足することなく、理想の折りたたみ自転車を追求し続けます。作り続けた未来の fill の試作車の数は11台にもおよびました。それらの試作品は、設計から組み立てまで、すべて彼自身のハンドメイドで作られました。

試作第一号の開発から、10年以上の月日が流れた2020年。

試作12号目にして、目標とした世界最小体積・幅20cmの折りたたみ自転車が完成します。fill 独自の折りたたみ方式は特許認定となりました。

菅原が追求した、理想の折りたたみ自転車 fill がついに誕生したのです。

Page Top